セイコウテイ
日本料理
根津駅から徒歩3分(200m)
この日は、根津の「成光亭」で会席料理をいただきました。階段を降りた先に広がる落ち着いた空間は、まるで別世界。こぢんまりとした木のぬくもりあふれる店内に心がほっとして、ゆっくりとした時間が流れはじめます。 前菜には、蕗と筍の炊き合わせ。ほのかな苦味と出汁の香りが相まって、春の息吹を感じさせてくれました。やわらかく炊かれた筍に、ふんわりとした木の芽の香り。丁寧な手仕事が感じられる、小さな感動の一皿でした。 お造りは中トロ、鯛、季節の白身。中トロはとろけるような脂の甘みが心地よく、鯛は引き締まった身に淡い甘みがじんわり。白身魚は口の中でほどけるような優しさがあり、どれも繊細で、素材の良さがそのまま伝わるような盛り合わせでした。 焼き物には、鰆の塩焼き。皮目はカリッと焼かれ、身はふっくらジューシー。ほんのり塩が効いていて、ひと口ごとに旨味が口の中に広がり、レモンを添えるとまた違った表情に。素材と火入れの絶妙なバランスに、ただただうなずくばかり。 煮物は、根菜の炊き合わせ。人参、大根、里芋がそれぞれちょうどよい柔らかさで、出汁の旨味をしっかり含んでいます。一つ一つの素材が持ち味をしっかり活かされていて、どこか懐かしく、心がほどけていくような味わいでした。 天ぷらは、海老と季節野菜。衣は薄く軽やかで、素材の味を邪魔せず引き立てる仕上がり。天つゆもあっさりとしていて、油の重さをまったく感じさせません。揚げたての海老のぷりぷり感と、甘みを含んだかぼちゃのコントラストが印象的でした。 最後は茶そば。つるっとした喉越しと、ほんのり香るお茶の風味が心地よく、出汁の旨味とともに静かに口の中を整えてくれるようでした。まるで食事の幕引きにふさわしい、静かで清々しい一杯。 「成光亭」の料理は、どれも押し付けがましさのない優しさに満ちていて、一品ごとに心が満たされていくような感覚。食べ終えた後に、ふと深呼吸したくなるような、そんな静かな余韻が残りました。まさに、丁寧に生きた料理との対話。静かな夜に、そっと寄り添ってくれる一軒です。
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