ここまで、エビデンスや論文の見方、研究の種類、バイアスやSNS情報との付き合い方についてお話ししてきました。
では、このシリーズを発信している鍼灸師自身はどうなのか?
ここも避けずに考えてみましょう。
鍼灸にも多くの研究があります。慢性痛など、比較的研究が進んでいる分野もあれば、まだ十分な研究がない分野もあります。
鍼灸研究の難しさの一つは、薬のように「本物」と「見た目が同じ偽薬」を簡単に比較できないことです。鍼では、施術者にも患者さんにも、本物の鍼かどうかを完全に分からなくするのは容易ではありません。
また、刺す場所や本数、刺激量、施術回数などの条件も研究ごとに異なります。
だから、
「鍼灸にはエビデンスがある!」
と一括りにするのも、
「鍼灸はすべて科学的ではない!」
と決めつけるのも、どちらも乱暴です。
大切なのは、
「何に対して、どの程度の研究があり、どこまで分かっているのか?」
を一つずつ確認することです。これは薬や運動、食事でも同じです。
臨床では、研究結果だけですべてが決まるわけでもありません。症状や生活習慣、体調、希望、価値観などを考慮し、施術を組み立てます。同じ肩こりでも、全員に同じ施術をするとは限りません。
ただし、**「個人差があるから、何をしてもいい」**という意味でもありません。
研究で分かっていること、臨床経験、目の前の人の状態や希望。それぞれを分けて考え、できるだけ適切な選択をすることが大切だと私は考えています。
鍼灸も、過大評価も過小評価もしない。そんな距離感がちょうどよいのではないでしょうか。
次回はいよいよ最終回。健康情報との付き合い方を、ここまでの内容とともに整理します🌿
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