私たちは、生まれる環境を選べない。
どんな家庭に生まれるのか。
どんな言葉をかけられ、どんな価値観の中で育つのか。
お金のある家庭に生まれた人は、ずっと豊かで、お金のない家庭に生まれた人は、ずっと苦労するのだろうか。
自分を否定してきた人は、ずっと自分を好きになれないのだろうか。
白黒思考も性格も、一生変わらないのだろうか。
私は、ずっと疑問に思っていた。
人の脳は、意外とだまされやすい。
たとえば、水が並々と入ったコップを運ぶとき、
「こぼしちゃダメ」
「絶対にこぼさないように」
と思えば思うほど、頭の中には水をこぼしている自分が浮かんでくる。
すると、コップばかりが気になり、手や体に力が入る。結果、本当にこぼしてしまうことがある。
反対に、
「ゆっくりテーブルまで運ぼう」
と思えば、無事に運んでいる自分が浮かぶ。
これは、人生も同じなのではないだろうか。
「失敗したくない」と思えば、失敗する自分を想像する。
「どうせ私には無理」と思えば、何かを始める前から、できない自分を思い描く。
もちろん、イメージするだけで願いが叶うわけではない。
でも、思い描く未来が変われば、見るものや選ぶ行動が変わる。行動が変われば、人生も少しずつ変わっていく。
昔の私は、毎日のように膝を抱えてうずくまっていた。
自分が嫌いだった。
自信もなかった。
この先も、ずっと変わらない。
そんな未来しか想像できなかった。
けれど、あるとき初めて、別の自分を思い描いた。
私と同じように苦しんでいる人を助けたい。
ひとりで膝を抱えている人の心を、少しでも軽くできる人になりたい。
そんな自分になりたい。
そう思ったとき、私の人生は動き始めた。
すぐに変われたわけではない。
怖くて動けない日も、自信をなくす日もあった。
それでも、なりたい自分に近づくために学び、少しずつ行動した。
かつて膝を抱えていた私が、今は誰かの心を軽くする仕事をしている。
生まれた環境も、過去に起きた出来事も変えられない。
それでも、これからどう生きたいかは、自分で選び直すことができる。
自分がどう生きたいかを思い描き、「変わりたい」と願った瞬間から、未来は少しずつ動き始めるのだと私は自分の人生で学んだ。