発達に課題のある子どもたちのアート活動を見ていると、絵を描き始めた途端に表情が明るくなったり、笑顔が増えたりすることがあります。
これは単に「絵を描くことが楽しいから」というだけではありません。
「自分で考える → 想像する → 表現する → できたことを実感する」という一連の経験が、子どもの心の安定や自信、意欲につながっていると考えらます。
1「想像すること」が表現の出発点になる
絵を描くというと、上手に形を描く技術を思い浮かべがちです。
「こんなものを描いてみたい」
「ここには何かがいるかもしれない」
このような小さな想像が、実際の線や色へと変わっていきます。
そして、
想像 → 選択 → 表現 → 結果を見る → さらに想像する
という循環が生まれます。
この循環が、認知や創造性だけでなく、「次もやってみよう」という意欲にもつながって行きます。
2.笑顔は「楽しい」だけではなく、心が動いているサイン。
「面白い」
「もっとやりたい」
「こうしたらどうなるだろう」
という気持ちが生まれ、心と身体が活動に参加している状態とも考えられます。
3.大切なのは「上手な絵」ではなく「その子らしい表現」
子どもの作品を見るとき、大人はつい、
「何を描いたの?」
「もう少し上手に描いてみよう」
と評価したくなります。
しかし、発達支援としてのアートでは、作品を完成度だけで評価しないことが大切です。
「どんなことを想像したのだろう?」
という視点で見ることで、その子どもの「考えていること」「感じていること」「興味を持っていること」に気づくことができます。
作品は、子どもの能力を測るものではなく、子どもの内側にあるものを知るための手がかりにもなるのです。
保護者の皆さまへ
一本の線から始まった表現が、気づく力、考える力、想像する力、選ぶ力、表現する力、そして「やってみよう」とする意欲が含まれています。
そして何より大切なのは、子ども自身が
「自分で考えて、自分でつくって、楽しかった」と感じることです。
「自分も表現できる」
という、次の成長へ向かう力の表れなのです。
だからこそ私たちは、子どもたちに「上手な絵」を求めるだけではなく、想像することを楽しみ、その想像を自分らしく表現できる環境を大切にしていきたいと考えます。