アート活動に込められた「ルールを守る力」と心の成長
今回のアート活動では、自由に引かれた線によって生まれた四角い形(矩形)に、クレヨンで色を塗る取り組みを行いました。
活動には、次のような約束事を設けました。
* 線からはみ出さないように塗る
* 同じ色を繰り返して使わない
* 黒色は使わない
一見すると単純なルールのように思えますが、実はこの活動には、子どもたちの成長につながる多くの要素が含まれています。
心理学では、このように「ルールを意識しながら行動する力」は、注意力や自己コントロール(自制心)、計画性といった「実行機能」の発達に関わることが知られています。例えば、「はみ出さないように塗る」ためには集中する力が必要です。また、「同じ色を使わない」という約束を守るためには、考えながら選択し、行動を調整する力が求められます。
発達に課題のある子どもたちにとって、このような経験を繰り返すことは、「我慢する」「順番を考える」「約束を覚えて行動する」といった日常生活や学校生活に必要な力を育てることにつながります。
さらに社会学の視点から見ると、人は社会の中で多くのルールを学びながら成長していきます。交通ルールや学校の決まり、人との約束など、社会生活はさまざまなルールによって支えられています。アート活動の中で楽しく約束事を守る経験は、単に作品を完成させるためだけではなく、「他者と共に生きる力」を育む学びでもあります。
また、ルールがあるからこそ、その中で自分なりの色の組み合わせや表現を考える「創造性」も育ちます。自由と約束事は対立するものではなく、適度なルールがあることで、子どもたちは安心して想像を広げることができるのです。
私たちは、このような活動を通して、作品づくりだけでなく、子どもたちが社会の中で自分らしく生活していくための力や、人を思いやる心、自分をコントロールする力を育んでいきたいと考えています。
身体が成長するように、心も少しずつ育っていきます。アート活動の中で積み重ねられる「できた」「守れた」「工夫できた」という経験が、将来の自信や社会性につながることを願っています。